里見香奈 里見香奈、三段昇段決める 女性初プロに近づく

里見香奈<将棋>里見香奈、三段昇段決める 女性初プロに近づく


 将棋の里見香奈奨励会二段(21)が23日、大阪市福島区関西将棋会館で行われた奨励会の対局の1局目で勝ち、直近の成績を12勝3敗とした。規定(12勝4敗)を上回り、三段昇段を決めた。


 将棋のプロは四段から。女性の最高位はこれまで自身の二段で、更新するとともに、女性初のプロ棋士までまた一歩近付いた。


里見さんは現在、6つの女流タイトルのうち、「女王」、「女流王座」、それに「女流名人」の、三冠を獲得しているほか、将棋のプロ棋士を養成する奨励会の会員として、男性と共に戦うプロ棋士を目指しています。
23日、里見さんは大阪・福島区関西将棋会館で行われた対局で、男性会員に勝って12勝3敗の規定を満たし、奨励会の二段から三段に昇段しました。
女性が奨励会の三段に昇段したのは、里見さんが初めてです。
里見さんは島根県出雲市出身の21歳で、おととし5月に奨励会に入会し、去年1月に初段に昇段し、ことし7月には二段に昇段していました。
里見さんは今後、奨励会の三段の会員どうしで行われる「三段リーグ」で2位までに入るか、2度3位になれば四段に昇段し、女性として初めてのプロ棋士が誕生することになります。

里見さん「やるからには必ず四段に」
女性として初めて三段に昇段した里見香奈さんは記者会見し、「ことし中に三段に必ず上がりたいと思っていたので、結果を残すことができてうれしいです。自分なりにメリハリをつけて将棋に取り組むことができたのがよかったのではないかと思う」と喜びを語りました。
そのうえで、来年から臨む「三段リーグ」については、「楽しみという気持ちと不安な気持ちが同じくらいあるが、迎えるまでになるべく自分の不安をなくしていく勉強をしていきたい。やるからには必ず四段に昇段したい。ただそれだけです」と話していました。

三段昇段の意義は
三段に昇段したことで、将棋の里見香奈さんは、女性初の「プロ棋士」誕生に、王手をかけたことになります。
プロ棋士になるためには、プロ棋士を養成する「奨励会」に入会し、規定の成績を収めて四段まで昇段しなければいけません。
四段になって初めて、プロ棋士の仲間入りを果たすのです。
里見さんはおととし5月に奨励会に入会し、その次の年には現行の規定で女性初の初段に、そしてことし7月には二段に昇段し、着実に力をつけてきました。
今回、里見さんが三段に昇段したことで、次の四段への昇段をかけた最終関門、「三段リーグ」に初めて挑戦できることになり、女性初のプロ棋士の誕生が現実味を帯びてきました。
しかし、各地の実力者がしのぎを削る奨励会で勝ち上がることは、並大抵のことではありません。
三段リーグ」は半年に1期18局、1日2局の例会をほぼ半月に1度こなし、勝ち残った数人しかプロになれません。
里見さんの場合は、このリーグ戦と平行して、女流棋士としてタイトル戦の対局もこなさなければなりません。
またプロになるには、年齢制限もあります。
26歳までにプロになれなかった人は、原則、奨励会を退会しなくてはなりません。
特例としてリーグ戦で勝ち越せば次回も参加できますが、これも29歳までと厳しい世界です。
現在、奨励会に在籍する女性は、21歳の里見さんを筆頭にわずか6人です。
来年は、女流棋士が誕生して40年の節目の年で、里見さんが女性初のプロ棋士となるか、注目が集まっています。

師匠「やっとスタートライン」
里見さんの師匠の森※けい二九段は「小さいころから目がキラキラして将棋に対して熱心だった。ここまで奨励会を勝ち進み、上がってこれたことを喜んでいるが、やっとスタートラインに立ったばかりだ。本当の勝負はこれからの三段リーグにかかっているので、初心に戻って三段リーグも勝ち進んでほしい」というコメントを出しました。