琴光喜 元大関。経営する焼き肉店で不法就労を助長した疑いで逮捕

4日、大相撲の元大関琴光喜が、愛知・名古屋で経営していた焼き肉屋で、不法滞在の外国人2人を雇ったとして、愛知県警に逮捕された。
ふし目がちに歩くニット帽に黒のパーカ姿の男。
午前10時、捜査員たちに連れられて、元大関琴光喜の田宮啓司容疑者(37)が、マンションのエレベーターから外に出てきた。
体格のよさとその表情は、力士時代のままだった。
田宮容疑者は、自らが経営する焼き肉店で、不法滞在の外国人を雇った入管難民法違反の疑いで、4日、警察に逮捕された。
かつて、土俵の内外で注目を集めた男は、なぜ逮捕されるに至ったのか。
2007年、田宮容疑者は「自分は大関という実感ができていないので、大関、すごいなって」と話していた。
「光る相撲で客を喜ばせる」という意味を込め、琴光喜というしこ名をつけていた田宮容疑者。
恵まれた体格から繰り出す鋭い立ち合いと、スピード感あふれる取り口で、早くから将来を期待され、2001年に幕内最高優勝、2007年には大関に昇進するなど、人気の日本人力士として活躍していた。
ところが、2010年に発覚し、角界を揺るがした、いわゆる野球賭博問題に深く関わっていたとして、渦中の人となり、日本相撲協会を解雇された。
田宮容疑者は「いろいろ心配かけてすみません。これ以上お話しすることはございませんので。すみません、失礼します」と話していた。
この一件では、解雇は不当とする田宮容疑者と相撲協会の間で、裁判が続いている。
その一方、出身地の愛知県で2012年、経営者として、焼き肉店をオープンさせていた。
焼き肉店オープン当時、田宮容疑者は「ちゃんこと焼き肉どっちが好きと言われたら、焼き肉なので。もともとの夢は、親方になって弟子を育てたい、そういう気持ちは強く持っていたので、取りあえずは、今はがんばらないといけない。今はもう、この店のことだけを(やる)」と、焼き肉店への意欲を語っていた。
その後、店は週末には席が埋まってしまう人気店となった。
11月29日も、店には、田宮容疑者自身が笑顔で接客している様子があった。
しかし田宮容疑者は、この焼き肉店で、中国人とタイ人の男2人を、不法滞在であると知りながら、およそ1年にわたって雇っていたとして、今回、逮捕された。
田宮容疑者は、「不法滞在ということは知らなかった」と容疑を否認しているという。
あの解雇から3年、かつての人気力士には、再び世間の厳しい目が向けられている。



琴光喜 啓司(ことみつき けいじ、1976年(昭和51年)4月11日 - )は、愛知県岡崎市出身(出生地は豊田市)で元大相撲力士。最高位は東大関。得意技は右四つ、寄り、内無双。本名は田宮啓司(たみや けいじ)。

2010年(平成22年)に発覚した大相撲野球賭博問題にて解雇処分され、現在日本相撲協会に対し地位確認を求めて係争中である。


入門まで
両親は高知県宿毛市出身。トヨタ自動車相撲部監督の次男で、小学生から相撲を始め、高校は強豪鳥取城北高校へ相撲留学、2年生で高校横綱となり、将来を嘱望されるようになる。さらに日本大学へ進学し、本格的に才能が開花。大学時代のチームメイトだった高見盛は、中学生時代からのライバルでもある。日大相撲部在籍中に27個のタイトルを獲得し、佐渡ケ嶽部屋に鳴り物入りで入門した。

若松(現・高砂)親方(元大関朝潮)には、高校卒業時から声をかけられていた。近畿大学OBの親方が両親と同郷(高知県)のためである。

四股名は「光る相撲で観客を喜ばせる」という思いを込めて、「琴圭傑(ことかけつ)」「琴吉勝(こときっしょう)」「琴光喜」の3つの候補の中から選んで命名された。