本田翼 「JR SKISKI」、本田翼からなぜピエロに?

本田翼
「JR SKISKI」、本田翼からなぜピエロに?



 雑誌やドラマなどでモデル、女優として活躍する本田翼さんの笑顔に、昨年はどれだけ多くの男性が癒されたことだろう。きっと彼女の名前を知らなくても、駅貼りの大きなポスターに思わず目を止めてしまった方もいるはずだ。



「JR SKISKIキャンペーン」は、路線沿線各地のスキー場に送客するためJR東日本が1990年代から展開している。江角マキコ吉川ひなの木村カエラなど、そのとき旬なタレントを起用しテレビCMの放映などを行ってきた。そして昨年は本田翼さんが出演。冒頭のポスターで紹介した彼女のドアップや、テレビCMの中でどうやら両想いの彼と二人きりになろうとわざとゲレンデで転ぶ姿や、手を引こうとする彼に「変態! 」とおどける演技が話題となった(動画はこちら:0:30秒のあたり、「変態! 」に注目)。 「本田翼効果」は、目に見える形で表れた。JR東日本の担当者によれば、「同社の旅行商品の売り上げは前年比約2割増。特にテレビCMのターゲットとして想定していた若年層のウェブによる購入は前年比約3割増」だったという。

 こうして昨年のキャンペーンは一定の成果を得た。しかし、「スノーレジャー市場全体としては震災前の水準には届いておらず、回復傾向とは言えない状況」(同担当者)。そこでJR東日本は今年、キャンペーンの強化を行ったのだが….。

■ 今年の主役は「ピエロ」? 

 真っ白なゲレンデの背景に、真っ赤な鼻と頭。瞳は緑に染まり、不気味な笑みを浮かべる。口の大きな穴からはマスクを被った人の口が見えており、よく見ると目を見開いている。

「狂気を感じた」「今年は変態が広告に」「JRに何があったんだよ」「ぜんぶ雪のせい、なら仕方がない」といったコメントが、キャンペーンサイトからツイッターなどに投稿され、ネットメディアでも取り上げられるなど、サイト公開直後からウェブで賛否両論を巻き起こした。 このピエロは誰なのか。前出の担当者に確認したところ、すでにツイッターなどで一部のユーザーが予想していたとおり、2011年にメジャーデビューした4人組のバンド「SEKAI NO OWARI」のメンバー「DJ LOVE」だと判明した。

 起用の理由については、「SEKAI NO OWARIについては、キャンペーンのターゲットである若者層からの支持が高く、YouTubeSNSなどのインターネット上でも多くのファンに支持されており、インパクトがあるため」とコメント。提案は、広告代理店(株式会社ジェイアール東日本企画)によるものだという。

 なお、一部で「ピエロが怖い」という声が挙がっていることについては、「そのような声については弊社にも挙がっており、お客さまにご不快な思いをお掛けしたことについては、素直にお詫び申し上げたい」という。

 この取材(11月28日午前)の中で、旬なタレントの顔出し出演から一気に路線を変更した理由について担当者は、「今後の展開で「意味」が分かってくるので、ぜひ期待していただきたい」と真意を濁したが、同日その意味が明らかになった。

 ピエロから女優の川口春奈へ。今年も「旬なタレント」路線を踏襲するというネタバレが行われた。さっそくツイッターでは「そう来たか! 」「ピエロとみせかけて、川口春奈! 」「ピエロはつかみだったのか」などの反響が起こった。

 ネットユーザーが散々話題にしたピエロは、このときのピークを盛り上げるためのいわゆる「ティザー広告」、つまり、あえて真意を明らかにしないことで消費者の注意を引くための仕掛けだったのだ。

 JR東日本の仕掛けはこれで終わりなのか、それとも続くのか。ティザー広告のおかげで今後の展開が気になる読者がいるのならば、それは皮肉にもJR東日本の「ピエロ」にされた格好だ。